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2008年6月1日日曜日

「反抗期」

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児の ヒント』を記載しています。 
今回は、湘北短期大学准教授 岡本依子先生です。


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 当時、息子のシュントは2歳後半でした。まだおむつが卒業できず、なかなか自 分からトイレに行こうとはしませんでした。そんなある日、夫が、「シュント、トイ レに行こう」と声をかけました。ところが、シュントの方は夫をちらりと見て、「や だよぉ」と口をとがらせます。「トイレ、行くんだよ!」と口調を強める夫に、それ でも、「や〜だよぉ」とそっぽを向くシュント。夫は、怖い声を出して、「シュント、トイレ!」と迫ります。とうとう、シュントはあきらめてトイレへ行きました。と ころが、シュント VS 夫の攻防はまだ続いていました。第二ラウンドは、おしっこ を済ませたあと。夫が、「ジャーして(水を流して)、お手々洗って」と促すと、シュントはまたも知らん顔。「おしっこ出たでしょ?ジャーして」と、まだやさしい声の夫。それなのに、シュントは、「出なかった!」と言い放ったのです。「出た でしょ?」と、イライラを押さえようとするような夫の声。「出なかった!!」と シュントも負けじと声が大きくなります。「出たでしょ!お父さん、見てたよ!!」 「出なかった!!!」「おしっこ出てた!お父さん見てた!!」「出なかっ たーっ!!!」...私は本当に、笑いをこらえるのに苦労しました。ここで、私が 吹き出してしまうと私まで夫に叱られてしまいます。 

 そうです、シュントは反抗期のまっ最中だったのです。反抗期とは、親やおとなに 従うことを嫌がり、激しく反抗する時期のことをいいます。
 親からすればやっかいな反抗期ですが、子どもにとっては、自芽の発達と深く関係 がある重要な時期といえます。生まれてしばらくの間は、子どもは自分と他者の違い をそれほど意識せずに過ごしています。むしろ、日々「できること」が増え、おとな と同じことができることを楽しみます。ところが、できることが増えてくると、自分 を強く意識するようになり、他者の援助を断り「自分で」やろうとします。相手の要求 も自分が望まなければ、拒否します。
 さらに、「自分でしたい」わけでも、「したくない」わけでもなく、むやみに「いや だ」を連発するようになることもあります。こうなると、反抗のための反抗――とに かく反抗したいから反抗するというわけです。おしっこが出なかったと主張しても,、シュント自身なんの得にもなりません。お父さんよりも優位に立ちたいだけ、言い換えると、自分が相手を揺さぶることができるかどうか試したいだけなのです。
 しかし、違った角度からみると、これは他者と真剣に交渉(やりとり)をはじめている証拠です。本気で他者と向き合っているのです。子どもが、これから先も「人のな かで」生きていくための大事な練習といえるでしょう。大人の方は、がんばりすぎず、大目に見るところはみながら、のんびり構えるしかないのでしょう。 とはいえ、私も、「やぁ〜だ!」と言われて、カチンときて 感情的になったこともありましたけど。



湘北短期大学 岡本依子