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2008年8月1日金曜日

「赤ちゃんと絵本」

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児の ヒント』を記載しています。 
今回は、東京大学大学院教育学研究科教授/あゆのこ 保育園保育アドバイザー 秋田喜代美先生です。

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 2000 年の子ども読書年をきっかけに、赤ちゃんと絵本をつなぐブックスタートという 活動が始まり、赤ちゃん絵本も数多く出版されるようになりました。今では 1 年で 200 種類を越える赤ちゃん絵本がさまざまな出版社からでているそうです。厚木市もブック スタートに参加しているので、乳児検診時にブックスタートパッケージを受け取ってお られるご家庭も多いと思います。私はこの活動を日本で立ち上げるためにイギリスにメン バーと共に訪問し理念や方針を決め、今も日本での普及活動に関わらせていただいてい ます。幼児への読み聞かせと乳児と絵本を見合う活動は質も楽しみも違います。赤ちゃん と絵本をわかちあうことで親子のコミュニケーションを豊かにすることがこの活動の願い です。
 
 最初のパイロット地区である東京都杉並区で、10 ヶ月検診の時にパッケージを受領し たご家庭200名に調査に協力をいただき、またさらにそのうち 30 組を 3 歳時までに 継続して訪問し調査をさせていただきました。その中でわかってきたことの一つは、ご家 庭によってほぼ毎日読むご家庭(頻度高群)もあれば週1回程度や読まないご家庭(低群) もあるのですが、どの子も比較的似た発達過程を遅かれ早かれたどることです。

 

 図はどれぐらいの行動が起きているかを 18 ヶ月で 5 段階で保護者の方に回答いた だいて調べたものです。絵本を頻繁に見 ているご家庭ほど同じ月齢でも子どもた ちが本をなめたり、気が散る非集中が少 ないことがわかります。しかしこの子た ちもなめる時期や集中しない時期があり、また 2 歳ころまでは先に頁をめくったり終わりまでは聞かない時期もあります。しかし一定の 経験を踏むことで自ら指差しをしたり注意深く絵本を見たりできていくようになっていきます。 そしてお子さんが集中してくると、親御さんも子どもの言葉や表情をよく見たり聞いて絵本を 一緒に楽しむことができるようになります。頁を親子のどちらかがめくるのか、どのように指 差してをしてお話しするか、どんな場所や姿勢で読むかにもそのご家庭の個性がありますが、 読み終わると「おしまい」という言葉が 2 歳半頃になるとでてくるご家庭も多いようです。 つまり、そのご家庭の持ち味の出た絵本の読みあい語り合いができてくるのです。乳児絵本で は「子どもの表情を見るのが 9 割、絵本を見るのが 1 割」の気持ちが大切とよく言われます。 絵本と出会うお子さんのすてきな表情をとらえ一緒に落ち着いたひと時をお気に入りの絵本と 共に過ごすのが乳児絵本の秘訣です。パパの読み声、ママの読み声、そしてお兄ちゃんやお姉 ちゃんなど同じ絵本でも誰と読むかで楽しみが数倍にもなるのが絵本のいいところですね。



東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美