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2008年10月1日水曜日

「心身の成長の糧、最良のおもちゃとは」

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児の ヒント』を記載しています。
今回は、湘北短期大学 保育学科准教授 實吉明子先生です。


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 子どもは周囲の大人の言動を実によく見ています。皆さんも、子どもが遊びの中で大人 の世界を模倣している姿を目にしたことがあるでしょう。たとえば、ぶつぶつ言いながら、 箱の上で積み木やブロックを横にすべらしては袋に詰める、スーパーのレジ係さながらの 姿などです。また、おもちゃとして作られた物に限らず、生活の中にある品々を遊びに取り 込む子どもの想像力の豊かさに感心したことはありませんか。たとえば、絵本は読む物のは ずですが、床にひざを伸ばして座り込んだ子どもが、絵本を横向きにして大事そうに足に乗 せ、手前から足先に向けて表紙をぱっと開け、“ノートパソコン”で“今日のお仕事”を始 めます。「あぁ、フリーズしちゃった」なんて...、誰のまねでしょうか。心を寄せる大人の 姿がきっと身近にあるのでしょうね。
 乳児期の最良のおもちゃは「周囲の大人」ではないでしょうか。人を人として育てる上で 必要なのは、機械的・一方的な刺激ではなく、子どもの状態に合わせた応答的なかかわりで す。テレビ画面に向かって表情を変えても、手を伸ばしても、テレビは応えてくれません。 強い光刺激や音は無用です。抱っこしてゆすったり、“高い高い”をしたり、“いないいない ばぁ”をしたり、この時期ならではの遊びがあります。子どもの反応を見ながら、それに応じた速さ、高さ、間合いに変化させ、言葉や唄を添えて遊びましょう。これらは何もなく てもできる遊びですが、子どもの心地良さに合わせた対応ができれば、安心感を育んだり、 身体機能を高めたりできるのです。そこには、遊びながら視線が合い笑顔になる、子も親も 幸せになれる一瞬があります。親も「今」を楽しんでいきましょう。忙しいだけではもった いない、まして、今を忘れて先を急いでも辛くなるばかりです。体温が伝わって来るほど近 くでかかわれるのは、実は人生の中でそんなに長くはないのですから。
 歩き回る頃になり、“こちょちょ”遊びが大好きでしたら、精一杯応じましょう。トコト コ逃げては、「また、やって」とばかりに戻ってきたりするうち、結構な運動量となり、気 持ちの発散ができ、信頼関係が深まり、お昼寝も順調に...と、一石二鳥ならず、一石四鳥。
 「うちの子は同じことばかりを『もう一回、もう一回』と言ってきかないんですが、大丈 夫なんでしょうか」と言うのを耳にしますが、それでよいのです。「もう一回」と言う間は、 その遊びから吸収することがまだ「ある」ということ。堪能したら、次の遊びへ進みます。 安心して、お子さんの欲求を暖かく受け止めていただきたいものです。
 むしろ、心配すべきは身の回りの安全性です。生活雑貨の誤飲やおもちゃ・装身具の不具 合や故障による怪我等を避けるために、身の回りを点検し、心安らかに過ごしましょう。
大人の微笑は子どもの笑顔を誘い、やさしい語りかけは子どもの心を育みます。皆さん自 身が“おもちゃ”となれる今を大切に。



湘北短期大学保育学科准教授 實吉明子