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2009年8月1日土曜日

「ちょっと振り返ってみよう、しつけ」

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。 
今回は、若木保育園園長 /社会福祉法人湘北福祉会監事 金子義男先生です。

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 散歩に出て、道草をしながら歩いていた W ちゃんが、お地蔵さまを見つけてブツブツ 言っています。注意して聞いてみると、「ナンマン、ダブ、ナンマン、ダブ・・・。ママ、 怒らないで」 思わず口に出た2歳のWちゃんの願いに、保育者は、普段はやさしい 雰囲気のお母さんを思い浮かべながら、ドキッとしました。
 小さいこどもにとって、一番頼りどころにしている、最も身近なお母さんに怒られ る辛さは、並大抵のことではないでしょう。なぜなら、怒られると、自分らしくゆっ たりとした気分で安心していられる「お母さん」という頼りどころが、手の届かない 遠い存在になってしまうからです。いつもやさしいお母さんなのにどうしてそんなこ とが、と不思議に思うかもしれませんが、小さいこどもにとって、その時そのときの 対応が問題で、怒られたときは、お母さんのいつもの優しさが何の役にもたたずに、 不安に陥ってしまうのです。それは、こどもが育ってゆく(つまり、こどもが自分自 身を育ててゆく)ための最も有利な条件を、奪い取ることを意味します。
 ところが、現代の日本社会では、子育てで避けて通れないことがしつけの問題で、 しかも、どうもしつけの手段として「怒る」ことが必須であるように誤解しております。 しつけをするということは、善し悪しの区別をちゃんとわからせることで、そのため に悪いことをしたときは、今後しないように、という意図で怒るわけです。もっとも、 気分次第で怒るお父さんお母さんも見かけますが。
 しかし、しつけの仕方は、日本では、明らかにある時代区分によって特徴づけられます。 すなわち、明治時代以降のしつけは、江戸時代以前のそれとずいぶん違ってしまいました。 江戸時代以前のしつけでは、怒ることは例外的であったようです。その理由は、「七つ前は 神のうち」と言われ、乳幼児期(小学校に上がる年齢まで)はまだ神様の領域におり、 人間の手の届かない存在であるというふうに考えられていたからです。従って、乳幼児期 は、神様の加護を得て育つので、社会の一員となってゆくのに必要なしつけの基本は、 親や社会を通してこども自身が「見よう見まね」で身につけてゆくものでした。そのため に親や地域社会ができることは、祈り励ますことでした。
 現代では、児童心理学等の学問が進み、ある学説によると、6 歳ころまでは理屈でもの を判断することはできず、直感で判断するだけである、ということがわかってきました。 これは、しつけは通じないということです。なぜなら、しつけは、理屈・論理的な事柄 だからです。5 歳の女の子が言いました。「ママ、そんなに怒らないでよ。○○ちゃん (妹)は未だちっちゃいんだから、未だ分からないんだから、怒るママが悪いんだよ!」 



若木保育園園長 /社会福祉法人湘北福祉会監事  金子義男