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2010年10月1日金曜日

「見守ることと安心感」

  皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載 しています。
  今回は、明石町保育園 園長 園田巌先生です。



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 保育園の入園児は、近年の傾向として、幼児よりも乳児の方が多くなりました。乳児の場合、生後8 か月以降になると人見知りが始まることがあり、子どもによっては、それが当分の間続きます。特に入 園がこの時期と重なると、保育園生活に慣れるまでには多少の時間がかかるので、子どもも保護者も 不安になることがあるようです。しかし、仮に時間がかかっても、やがてはほとんどの子どもが安心し て保育園生活を送れるようになります。

 ある時、生後1歳2ヶ月の子が入園してきました。ちょうど人見知りが激しい頃で、入園当初はおか あさんから離れるとき激しく泣き、しばらくしてもなかなか泣き止みませんでしたが、保育時間を少しず つ伸ばしていく中で、段々と保育園生活に慣れてくるようになりました。その後すっかり保育園生活に も慣れたと思われたので、担当保育士は子どもが遊んでいる間に、掃除や後片付け、お昼ごはんの 準備などをしていました。ところが、よく遊んでいるかと思えば、逆に遊びに集中できなくなったり、急 に情緒不安定になったりというようなことが時折見られるようになってしまったのです。

 乳児は、その発達の特性として、感性をフルに働かせて、周囲からなるべく多くのことを感じ取ろうと します。特に人間の顔や表情、視線には敏感に反応するともいわれており、一見よく遊んでいると思 われる場面でも、しばらくすると何かの拍子にふと振り向き、親や信頼関係のある保育士(愛着対象) を探すことがあるのです。その時、たとえ親や保育士が直接子どもと関わっていなかったとしても、子 どもに対して暖かい視線が注がれている場合は、子どもは安心してまた遊び始めます。逆に、そのこ とを感じることができなければ、子どもも何となく不安を感じ、更にこの体験を何度も繰り返すうちに、 やがて言いようのない不安感を抱くことがあるようです。時折子どもに暖かい視線を注ぎながら、「大丈夫だよ、私はあなたのことを見ているよ。」「たくさん遊んでいるね。すごいね。」など の声かけをすると、子どもは一層の安心感を得て、満面の笑顔を返してくれます。

 保育園と同様に、家庭生活においてもあわただしい日々の連続ですから、子どものためにもっ とこうしてあげたいと思っても、なかなか思うようにはできません。しかし、子育てにこうすべ きだという「べき論」はありませんから、必要以上に神経質になったり、深刻に考えたりしなく てもいいように思います。 

 子どもは、信頼している人から見守られているという実感をもつことにより、将来にわたって の揺るぎない安心感を得ているということを、私たち保育者は日常の保育業務の中から体験的に 学びます。子どもが望んでいるのは、決して特別なことではなく、心と心のつながりを感じることができる体験の積み重ねなのかもしれません。


                                     園田 巌