|ニュース一時預かり病後児保育ほっと れもんてぃフォトギャラリーアクセス
         *こちらのリンクボタンからは、あゆのこ保育園のホームページに移動します。


2011年2月1日火曜日

「片付けの発達プロセス」

  皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。
  今回は、東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美先生です。

**************************************


 住まいの整理術の本が、最近はいろいろと出版されています。大掃除の時期にテレビをみると、「片付け ができない女」特集などがなされていたりします。子どもは親の後姿をみて育ちます。皆様のご家庭では、 子どもたちは自分で使ったものを自分で片付けたりしまったりしているでしょうか。あるいは誰かが片付けて おられるでしょうか。最初は子どもが取り掛かるのを待っていても、子どもがなかなか片付けなかったり、片 付ける速さや片付け方が親の思うように進まなかったりすると、つい手助けをしたり、結局は親が片付けてし まうご家庭も少なくないのではないでしょうか。私自身も子どもたちには「片付けるのよ」と言いつつ、一緒に するつもりが自分が先導していたような気がします。

 日本の保育園や幼稚園では、子どもたちが片づけの習慣をつけていくことをとても大切な育ちと考えて います。これは文化によるようです。日本では小中学校でも清掃が大事にされますが、アメリカなどでは子 ども自身が清掃をするということには驚きの目でみられるのです。保育でも国の文化によって違いがありま す。“片付け”という場面は、大人は片付けてほしいと思うのに対して、子どもはもっと遊びたいと思ったり、 どうせ明日使うから出しておきたいと思ったりで、大人の思いと子どもの思いが葛藤しぶつかりあうことが生まれるので、対応が難しい場面なのです。

 しかし、大事なことは、「きちんとしまうときれいになって気持ちいい」という整理整頓に伴う清潔感や達成 感を子どもなりに育てていくことでしょう。また片付けるから次に出し入れするのにも便利だという感覚を年 齢に応じて育てておきたいものです。といっても片付けやすい環境を準備してあげることも大切です。また お人形さんでもおもちゃでもなんでも、箱に入れてふたをしておけば終わりではなく、大事に寝かせてあげ たり、同じものは積み重ねておくことですっきりみえたりというあたりは、発達に応じて伝えていくことで “もの”を大事にする心も育ちます。ご家庭の引き出しや絵本の本棚などはどうでしょう。一緒に手を添えてさり げなく見せて教えてあげることで、子どもたちの中に物の美しい扱い方や要領のよい物の容れ方を学ぶことが できます。また、幼児は「これは僕(私)が出したものじゃない、初めからあった」と言って、自分のものだけを片 付け、あとは関係ないという顔をする子がいます。そのような場合は、園でも家庭でも“皆のもの“を手伝って片 付けてあげるとその人にも喜ばれて、片付けた人も気持ちがいいのだということを実感していくことが大事でし ょう。「ありがとう、助かったわ」という一言が”皆のものを皆で大事に”という意識を育てます。

 片付けにも発達的なプロセスがあります。是非ご家庭でもうちの場合はどうかなど、発達的視点からみてみてください。


秋田喜代美