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2011年8月1日月曜日

「ぼくはぼく、わたしはわたし」


皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。 
今回は、湘北短期大学保育学科 岡本依子先生です。 


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 私は仕事の都合で2年ほど、アメリカ・マサチューセッツ州のクラーク大学にいました。何度かアメリカの乳幼児が通う子ども園(幼稚園と保育所の区別がないので)を見学させていただいたので、今回はそんな話を書いてみようと思います。
 日本とアメリカの保育の違いでよくあげられるのが、日本での「一斉保育」と、アメリカでの「コーナー保育」です。一斉保育というのは、今は絵を描く時間、今は自由遊びの時間というように、クラス全体で基本的に同じ活動をします。コーナー保育の場合には、広い部屋をいくつかに分けて、ここは絵を描くコーナー、ここはままごとのコーナーというように、コーナーごとに活動が分けられているのです。
 私が見学した園もやはり「コーナー保育」で、ひとつの室内に、本を音読するコーナー、蝶の幼虫を観察するコーナー、絵を描くコーナー、レゴのコーナーなどがあり、子どもたちが順に回って、いろいろな活動に参加していました。このようなスタイルだと、人気のあるコーナーにばかり子どもが集まったり、子どもが自分が気に入ったコーナーに居座り続けたりしそうですが、子どもたちがいろいろなコーナーを回れるような工夫がされていました。たとえば、各コーナーに「定員」があって、「レゴは3人まで。今3人遊んでるから、後にしよう」と別の空いているコーナーに行ったり、お友だちに「そろそろボクと代わってくれる?」と交渉して入れ替わったり、また、スタンプラリーのようなカードがあって、子どもは自分のカードを確認しながら回ったりしていました。保育者もこまめにクラスを見渡しては、子どもたちがいろいろなコーナーを巡れるよう、言葉をかけていました。
 このような活動が前提となっているせいでしょうか。アメリカの園の保育者は,「子どもが集まりすぎるのはよくない。自分で自分の好きな活動を選べていないせいだ。」と言っていました。日本であれば、ずっとひとりで遊んでいる子どもを見つけると、心配になってしまうこともありますが、正反対です。乳児のクラスですら,他の子とかかわるより、ひとりでおもちゃを探索するなど、邪魔されずにじっくり遊ぶことが促されていました。  日本では協調性が重んじられますが、アメリカでは自律性の方が重視されます。このような文化差が、こんな小さい子どもの時期から見られるのだと少し驚きました。どちらのやりかたがいいかではなく、いろいろな子育てのしかたや考え方があるのだなと感じたのです。ぼくはぼく、わたしはわたし...。自分の興味とじっくり向き合う時間について考え直してみようと思いました。

 岡本 依子