『しろくまちゃんのほっとけーき』

作・絵:わかやまけん
(こぐま社 1972 年) 

　しろくまちゃんがお母さんと一緒にホットケーキを作るお話 です。出来上がるまでの過程ひとつひとつが丁寧に描かれ ているので、絵を見ているだけで、自分で焼いているかのよう な気持ちになれる絵本です。『ぽたあん どろどろ ぴちぴち ぷつぷつ...』 ホットケーキが焼けていく時の音の表現がとて も豊かで子どもだけなく一緒に読んでいる大人も楽しくなれ ます。出来上がったホットケーキはこぐまちゃんと一緒に食 べ、最後は二人で仲良くお片付け。
　子どもは大人がしていることをとてもよく見ています。大人が していて自分たちが普段出来ないことや、させてもらえないこ とは子どもたちにとって “特別なこと!”。言葉には出さなく ても、子どもたちの目にはすごいな、自分もやってみたいな、 と憧れの対象として映っていることでしょう。
　この絵本は自分で作ってみることの楽しさや喜び、出来上 がった時の感動、そして誰かと一緒に分け合って同じものを 食べることの楽しさを読む人の心にストレートに伝えてくれま す。もしも自分の中に気持ちの余裕が少しあったなら、お子 さんと一緒にホットケーキを焼いてみても楽しいかもしれませ んね。“食べる” ということへの期待感や幸福感がふんわりと 心に広がっていくそんな素敵な絵本です。

ほっとれもんてぃ保育士　小島真由美