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2011年12月1日木曜日

「ことばを理解するために」



皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載して います。 
今回は、茅ヶ崎市こどもセンター 小池良一先生です。 


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 茅ヶ崎市で療育相談業務に従事し、早くも17年以上経ちました。相談員を行い始めたころと比べると、保護者、子ども、地域全体のコミュニケーション能力や想像力が弱くなっているように感じます。そのためか、育児も年々難しくなっているようで、私が勤める茅ヶ崎市こどもセンターでも相談件数は年々増え続けています。このような時代の中、今回は幼児期前半(1歳から4歳まで)の子どもの育児をする保護者の方に向け、育児の視点を1つだけお伝えさせていただきます。 

「言葉だけで伝えようとしない」 

 子どもは、3歳を過ぎるとずいぶん話すことができます。しかし、その年齢の子どもの言葉は、「繰り返しの言葉」、「自分のイメージだけからくる言葉」、「伝えたい気持ちだけが先行している言葉」が多いようです。先日も、遊園地で3歳くらいの男の子が、「チョコの上にアーモンドがのっているおいしいアイスを買ってよ、ママ!赤い三角の。食べるとニコニコになるアイスを買って!」と母親に自分の知っている言葉で訴え続けていました。母親は、「あとで買ってあげる」、「お金がないから買えない」、「昨日、買ったよね」、「お家の冷蔵庫にヨーグルトがある」、「チョコはダメ。おにぎりをたべなさい」と少し叱り気味で伝えていました。子どもは、母親からの言葉をシャワーのように浴びたため、さらに興奮し、号泣し、最終的には激しい癇癪を起こしました。楽しいはずの遊園地が散々な結果となってしまったのです。 

 ここで、考えてみましょう。幼児期前半は、一見、言葉を理解し、話しているように見えても、実はコミュニ ケーションに必要な想像力(時間・空間)に、まだまだ幼さがあります。言葉をしっかり理解することが難しい のです。つまり、「子どもが話しているレベル位の話し方をしても全て理解するとは限らない」ということで す。「あとで買ってあげる」といっても、「買ってあげる」という言葉だけが耳に残り、「あと」の言葉の意味がわ からなかったり、聞けなかったりするため混乱が始まるのです。こんな時は、言葉だけでなく、子どもの視覚に訴えたり、環境を変えたりすることが有効です。例えば、あらかじめ鞄にしまっておいた子どものお気に入りのミニカーや小さなぬいぐるみを差し出したり、アイス売場から離れて一緒に飲み物を飲むことも一つの方法かと思います。この話をすると、子どもの気持ちをごまかしているのでは?我慢させる気持ちが育たないのでは?大きくなってから心配!という保護者の声が聞こえてきます。しかし、心配はいりません。大人が子どもの発達を理解し、子どもの気持ちに寄り添う育児を行うことで、子どもの情緒は安定し、相手の気持ちに合わせる力がつきます。上から目線で子どもがわからない言葉で説得されることは社会性の育ちを阻みます。言葉だけのコミュニケーションではなく、日々、「子どもの発達を理解し子どもとコミュニケーションをとる」そんな育児が子どもの社会性を育み、コミュニケーション、想像力を高めます。そして、その子どもたちが人間性豊かな大人となり、夢や希望のある日本、世界をつくっていくのでしょう。

 茅ヶ崎市こどもセンター  小池 良一