|ニュース一時預かり病後児保育ほっと れもんてぃフォトギャラリーアクセス
         *こちらのリンクボタンからは、あゆのこ保育園のホームページに移動します。


2012年2月1日水曜日

「お兄ちゃんやお姉ちゃんはよきメンター」


皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。 
今回は、東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美先生です。 


**************************************
 
 ご家庭で弟や妹が生まれると、お兄ちゃんやお姉ちゃんが退行現象と呼ばれる赤ちゃん返りをするのはよく知られています。また子どもなりにじっと我慢していても、どこかに無理がかかって、熱がでたりお腹がいたくなったりと身体症状に出たりすることもあります。しかし、両親に自分が認められ受け入れられることを十分に子ども自身が感じられると安心し、弟や妹をかわいがりはじめます。そして兄、姉になった誇りもどんなに小さくてもそれなりに感じ始めるようです。しかし一方で、「お兄ちゃんなんだから、お姉ちゃんなんだから」と「・・・なんだからやりなさい。やめなさい」と役割や立場で表現して言われると、自分自身の存在を受け入れられていない気持ちになって反感が高まり、「やってごらん、やめて」と言われるよりも、言われたことにより抵抗感を示すことも、日本のいくつかの研究データなどでは示されています。ほんの一言、なにげない一言で子どもはすねてみたり、さりげない認める一言で誇りを感じることができたりするようです。大人も子どもも同じと言えるでしょう。 

 乳児期の子ども同士のかかわりをみせてもらっていると、お兄ちゃんやお姉ちゃんにあたる年長の子が下の子に共感する経験や相手のために何かをしてあげたいという向社会的行動と呼ばれる意識が育つことがわかります。我が家では姉妹が5歳離れていますが、下の子が1歳4か月の時、家の中で箪笥に頭をぶつけて泣き始めた時すぐに姉がその子のところに走っていって頭をなぜていた姿が印象的でした。弟や妹は他者の気持ちを理解する学びを形成する最初の関係と言えます。 
  これは上の子だけではなく下の子にとっても同様です。親だけではなく、お兄ちゃんやお姉ちゃんは下の子にとって、人生のよきメンターなのです。遊び場面をみていると、10か月の乳児でも兄弟姉妹がふれた物だと観察し、それを実際にはその通りに模倣できなくて模倣しようとしたりもします。親はとかく上の子が下の子の面倒をみてあげているという見方をしがちですが、上の子と下の子が関わることで、下の子が新たにどのような経験をしているのか、それによって行動が変わっているのかをみてみると、また新たな発見があることも多いようです。2,3歳では自己主張が強くなり、兄弟でのもののとりあいやいざこざやけんかも起きやすくもなりますが、いざこざこそ人と折り合いをつけていく最初の人生経験でもあります。兄弟姉妹とは限らずご近所でも園でも、異年齢の子ども同士のつきあいを広げ見守ってあげてください。子ども同士でしか得られない貴重な経験を子どもたちはきっとしているはずです。

秋田喜代美