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2013年6月25日火曜日

「歌いかけのすすめ』

皆様の育児の参考にしていただけたらと、『育児のヒント』を記載しています。 
今回は、東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美先生です。

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ご家庭でお子さんと一緒にどのような歌をうたっておられるでしょうか。お気に入りの歌はどのような歌でしょうか。言葉の意味がわかるようになる前からも、子どもたちはお母さんやお父さんに子守唄やわらべうた、童謡を歌ってもらうのが大好きです。くもん教育研究会の2010年の調査によると、お子さんに歌いかけをする人の9割はお母さんだそうで、「妊娠中から47.4%、0歳代前半からが40%」となっています。乳児期から親子のコミュニケーションと同時に遊びの一環として歌いかける親御さんは多いようです。それはなぜでしょうか。それはやはり楽しい気持ちになるからですし、イライラしている時には歌は歌えません。調査結果でも、子どもに歌いかけることで保護者もまた楽しい気持ち、温かい気持ちになったり、イライラが落ち着くと感じておられると答えておられます。
ではどんな形で親子で歌いかけたり歌い合ったりしているのでしょうか。白百合女子大学の中島文先生が母親と乳児の歌いかけの調査をされています。発達的には0歳頃には、母親の方から歌いかけるスタイルであったのが、2歳ころからは積極的に子どもも参加しての母子コラボレーションで歌うようになることが多くなるというように、親子での歌の楽しみ方のスタイルも変化していくことが多いようです。大きく分けるとご家庭によって乳児期には2つのスタイルがあるそうです。一つはお母さんが子どもに歌いかけるスタイルで、母親の方は手や全身でリズムを取りながらも歌のリズムを強調した歌い方をしていくことで歌にひきこみ、子どもの側はそれでうとうとしたり、抱きついたりするスタイルです。もう一つは、母子がコラボレーションするスタイルで、手でリズムをとって歌ったり膝に乗せて全身でリズムを取りながら歌うことで、子どもの側も親に抱きついたり発声して歌に合わせて体を動かしたりすることがいっそう活発になっていくスタイルです。前者は母子の一体感をベースにして歌を聴くことで、子どもも母子も感情を調整し親子の情緒の絆を育てていくスタイルなのに対して、後者は子どもも歌にあわせて発声や動きをしていくことで情緒的一体感を育てていくスタイルです。大事なことはどちらがよいスタイルだということではありませんし、どのような時間のどのような歌かということによっても違ってくるでしょう。
どの年齢でも、歌を親子で歌うことが、親子の情動の安定や心地よさを与え,子ども自身の情動調整能力にもつながっていくということです。CDをかけたりビデオでというよりも、お母さんやお父さんの生の声で子どもたちが聴いたり、親子一緒に体感してリズムを共有することが大事だと思います。それが生の声である「素歌(すうた)」の良さであり、「歌いかけ」という言葉で表現されることだと思います。いろいろな歌を歌うことで、いろいろな心地よさを子どもたちから引き出すことができますから、いろいろな歌を歌いかけたりすることが大切です。しかし、次々に新しい歌を「教えよう」とすると子どもたちは消化不良になったりします。くりかえし安定した気持ちで歌うことが歌の楽しさを知る上で大切なことでしょう。また子ども自身が歌詞の意味を理解したりしながらやりとりがなされるのは、もちろん個人差もありますが5歳ころになってからのことが多いようです。正しい歌詞やメロデイーでなくても子どもが歌う楽しさをしると歌のレパートリーは増えていきます。園で覚えた歌をご家庭でも歌ったり、お母さんやお父さんの好きな歌を聴かせてあげたりして笑顔の輪がひろがるほんのひととき、大事にしたいですね。
秋田喜代美

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