*************************************
数十年前から子どもの「体力低下」が問題視され、近年においても「転んでも手が出ない」、「まっすぐ走れない」など、体の操作が未成熟な子どもたちが増えていると聞きます。幼少期は人間形成の基盤の時期であり、運動発達においても重要な時期と言えます。そのような重要な時期にどのような運動や遊びをすればよいのでしょうか。
H24年3月に文部科学省が『幼児期運動指針』を発表しました。幼児期に何か特別なトレーニングや訓練が必要と書かれているのでしょうか。いいえ、違います。「幼児は様々な遊びを中心に、毎日、合計60分以上、楽しく体を動かすことが大切です!」とあるのです。ポイントは「遊び」や「体を動かす」という表現がされていること、「運動」や「トレーニング」という言葉は一切使われていないことです。また「様々な遊び」とあります。子どもに水泳、サッカー、野球、体操を幼い時から習わせていれば、運動が得意な子に育つのでしょうか。そうではないということを指針のガイドブックが示しています。水泳もサッカーも野球も体操も素晴らしい運動です。しかし、それだけでは特定の動作に偏る危険性があります。食事と同じですが、バランスが大切であり、様々な種類の動きを幼少期に幅広く経験すること、つまり動きの土台を耕すことが将来にわたって運動やスポーツを楽しめる大人になる基盤となります。さて、これまでは幼児;3歳~6歳までのお話でした。それではそれより小さいお子さんを持つご家庭ではどのようなことを意識していけばよいのでしょうか?
多胡 綾花
引用参考文献:文部科学省(2012)『幼児期運動指針』http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/undousisin/1319771.htm
*************************************